東北サファリパークの飼育員がライオンに襲われ死亡・・・なぜ動物による事故が起こるのか?

行動分析学・動物

2023年9月28日、東北サファリパーク(福島県二本松市)で飼育員がライオンに襲われ死亡するという痛ましい事故が発生しました。

東北サファリパークによると、その飼育員は当時監視員と2人でおりの中にエサを置いてライオンを誘導する作業をしており、上がったままの飼育員用の鉄格子の扉を閉めようとおりに近づいたところ、中にいたライオンに引きずり込まれたとみている(引用:福島中央テレビより抜粋)とのことです。

2022年1月にも那須サファリパーク(栃木県那須町)で飼育員がトラに襲われ負傷するという事故が起きています。

その他にも日本の動物園における1950年から2022年までに発生した動物による死傷事故の定量的評価によれば

約72年分の記事から加害動物、発生時の行為などを調査した。その結果、54園で発生した107件122人分(死亡25人、重傷50人、軽傷39人、不明8人)の事故を確認した。

とあります。

なぜ動物による事故が後を絶たないのでしょうか?

この記事ではその理由を考察してみようと思います。

ケンさん(アニマルトレーナー)
アニマルトレーナー歴15年。
行動分析学を応用した近代トレーニングを実施しています。

「行動分析学は世界をより良くする」と信じ、日々発信しています。

なぜ動物による事故が起こるのか?

なぜ動物による事故が後を絶たないのか?

それにはいくつかの理由が考えられます。

人員不足

まず原因のひとつに人員不足が挙げられます。

動物園だけではなく、水族館やふれあい施設など、動物の飼育現場で人員不足が発生しているということは珍しいことではありません。

人員不足が起こる原因はいくつか考えられますが

・施設そのものの維持費が高い為、人件費が削減されて従業員が少ない。=給料が低いため離職してしまう。
・激務なため離職してしまう。

平たく言うとお金がないというのが根本あるかなと思います。

人員不足になると注意散漫になったり、手がまわらず焦ったりして事故につながります。

これはどんな職種でも共通していえることですよね。

ただ、動物飼育の現場ではそれが命取りになるということです。

施設の老朽化

施設の老朽化も動物事故を招く原因になり得ます。

動物のおりや扉、カギが老朽化で壊れやすくなったりしていると事故の危険性が上がります。

慣れによる油断

毎日動物と接していると慣れが生じ、なあなあになっていきます。

これが最も危険です。

「いつもやっていることだから」

「この動物とは信頼関係があるから」

動物は生きているのですから、「いつも同じ」ということはありえません!

人間だってそうですよね?

少しの気の緩みが大怪我や死亡事故につながってしまうのです。

おうちで飼っている犬でも、子どもや幼児が噛まれたりすると大事故になります。

トラやライオン、ゾウ、イルカやシャチなどの大型動物と接する際は、特に注意を払う必要があります。

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動物事故は人間側が100%悪い

動物による事故は後を断ちませんが、原因は100%人間側にあります。

どんな状況だろうと動物に悪いところは1つもありません。

人員不足や施設の問題は言わずもがな、動物に問題行動があったとしても、それをトレーニングで修正でなかったり、それを踏まえた飼育環境を提供できなかった人間側に問題があります。

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最後に

今回の事故で亡くなられた飼育員の方には心からご冥福を申し上げます。

動物事故は動物や人間を不幸にし、「動物の飼育」というものの意義を根幹から揺るがすものです。

施設側は原因究明をしっかり行い、再発防止に努めていただきたいと切に願います。

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