人間や動物の行動に影響を与える好子。
その個体の好きなもの(出来事)
この好子には生得性と習得性の2種類があります。
行動の出現頻度に直結する好子が、生得性なのか習得性なのかを理解することは非常に大切です。
とりわけ習得性好子に関しては、注意して使わなければ、その効果が薄れたり、無くなったりしてしまう可能性もあります。
この記事では、生得性好子と習得性好子をわかりやすく解説します。
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ケンさん(アニマルトレーナー)
アニマルトレーナー歴15年。
行動分析学を応用した近代トレーニングを実施しています。
「行動分析学は世界をより良くする」と信じ、日々発信しています。
生得性好子とは
生得性好子とは読んで字のごとく、生得的に、つまり生まれながらにして好子としての機能をもつ刺激や出来事のことです。
一次性好子や無条件好子とも呼ばれます。
具体例を挙げるなら、食べ物や飲み物、性的刺激などがあります。
生物が生きるために必要なものが生得性好子として遺伝子に組み込まれている、と考えられてます。
なので、生得性好子というのは動物種によって違います。
例えば、雨は水鳥にとっては生得性好子ですが、猫にとってはそうではありません。
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習得性好子とは
習得性好子とは、他の好子と対提示されることで、好子の機能を持った刺激や出来事のことです。
二次性好子や条件性好子とも呼ばれます。
中性刺激(好子でも嫌子でもない刺激や出来事)と他の好子を一緒に提示すること
我々人間にとって、最も身近な習得性好子といえばお金でしょう。
お金は赤ちゃんにあげても、行動の出現頻度をあげることはありません。
つまり生得性好子ではないですね。
しかし、赤ちゃんが成長し、お金を使ってお菓子やジュースを買う経験を積んでいくと、次第にお金は好子としての機能をもっていきます。
中性刺激が好子(または嫌子)と対提示されることで習得性好子(または習得性嫌子)になることを価値変容の原理といいます。
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習得性好子の注意点
習得性好子には、注意しなければいけないことがあります。
それは、習得性好子として機能するためには、他の好子と対提示され続けなければいけないということです。
この元々の好子は、習得性好子の機能を裏付けるという意味で、裏付好子またはバックアップ好子と呼ばれます。
裏付好子の提示を止めてしまえば、習得性好子の機能も低下します。
上司にいつも褒められているにも関わらず、いつまでも昇給も昇進もしないとなれば、その褒め言葉の効力はどんどん低下し、聞き流されることになるでしょう。