行動に直後に良いことがあるとその行動は強化され、繰り返し起こるようになります。
強化…行動の生起瀕度が増えること
例えば、子どもが元気に挨拶したとします。
親は「大きな声でご挨拶できてえらいわね〜!」と褒めます。
この子の「挨拶する」という行動は強化されたでしょう。
それでは、この「挨拶」という行動を維持するためには永遠に挨拶を褒め続けなければいけないのでしょうか?
答えはNOです!
行動を維持していくためには、部分強化スケジュールを用います。
行動を強化する方法はいくつかあり、強化の与え方を強化スケジュールと呼びます。
行動を起こすたびに強化することを連続強化、たまにしか強化しないことを部分強化といいます。
連続強化…行動のたびに強化されること
部分強化…何回かに一度だけ強化されること

ケンさん(アニマルトレーナー)
アニマルトレーナー歴15年。
行動分析学を応用した近代トレーニングを実施しています。
「行動分析学は世界をより良くする」と信じ、日々発信しています。

連続強化スケジュール
連続強化とは、行動のたびに強化されることです。
小さなこどもの場合は、挨拶でも、歯磨きでも、トイレでも、初めのうちはその行動が起きるたびに褒めてあげますよね。
新入社員の教育の場面でも、初めは手とり足とり教えて、できるたびに褒めてあげる(フィードバックしてあげる)ということをしますよね。
こういうシチュエーションでは連続強化が望ましいです。
なぜなら、学習が起きやすい、または理解が進みやすいからです。
連続強化で学習された後は、行動が起きるたびに強化してはいけませんし、規則的に強化してもいけません。
強化は不規則に、予測できないようにするのが、行動を維持していくのに効果的です。

部分強化スケジュール
行動をしてもたまにしか強化されないことを部分強化といいます。
行動を維持していくには、この部分強化を上手に使う必要があります。
部分強化は連続強化と消去の中間に位置します。
消去…行動しても全く強化されず、その行動を起こさなくなること
部分強化には、一定の時間や回数ごとに強化が起こる固定強化スケジュールと不規則な時間や回数ごとに強化が起こる変動強化スケジュールがあります。

固定強化スケジュール
決まった時間や回数ごとに強化が起きることを固定強化といいます。
・年末調整や確定申告の計算
・汚部屋の掃除
・(仕事の良し悪しに関わらず)8時間労働
・長文のメールを打つ
などが例として挙げられます。
固定強化には欠点が主に2つあります。
①決まった時間や回数以外は強化されないから、はじめの行動がいい加減になる。
②決められた時間や回数が長くなる(多くなる)につれて、行動に取り掛かるのが遅くなる。
先が見えない、ゴールが見えない、終わる気がしないことってやらなくても良い理由を無限に思いつきますよね。

変動強化スケジュール
不規則な時間や回数ごとに強化が起きることを変動強化といいます。
先の固定強化とは反対ですね。
変動強化は行動を維持していくために最も効果的な強化スケジュールです。
変動強化の代表例としてはパチンコやスロットなどのギャンブルが挙げられます。
パチンコやスロットにお金を入れる行動は最終的に「当たり」という結果で強化されるのですが、そういったギャンブルは毎回当たるものではありませんよね。
たまに当たる…つまり変動強化されているわけです。
なので人々は熱心にパチンコ・スロット店に並ぶんです。
人を育てる、動物をトレーニングする上では、この変動強化をいかにうまく使えるかがポイントとなってきます。
動物のトレーナーでもこの変動強化スケジュールを上手く使いこなせている人は、実はそれほど多くありません。
まとめ

連続強化は行動形成(シェイピング)に使い、行動が学習されたあとは部分強化に切り替えましょう。
特に変動強化を上手に使うのが効果的です。

コメント