こんにちは!ケンさんです。
今日は行動分析学の基本的な考え方の一つである「弁別刺激(べんべつしげき)」について、わかりやすく解説していきます。
特にSD(エスディー)とSΔ(エスデルタ)という、ちょっと耳慣れないけれど超重要な概念を一緒に見ていきましょう!

ケンさん(アニマルトレーナー)
アニマルトレーナー歴15年。
行動分析学を応用した近代トレーニングを実施しています。
「行動分析学は世界をより良くする」と信じ、日々発信しています。
弁別刺激とは?私たちの「行動のきっかけ」
まず弁別刺激とは何かから始めましょう。
私たちは日々、いろんな「刺激」に囲まれて生きていますよね。
例えば、友達の声、スマホの通知音、赤信号、美味しい料理の匂い…これらすべてが「刺激」です。
行動分析学で言う「弁別刺激」は、特定の行動が良い結果(強化)につながりやすいか、悪い結果(弱化)につながりやすいか、それともなんの結果も得られない(消去)かを教えてくれる「手がかり」となる刺激のことなんです。
イメージとしては、私たちの行動を「GO」させたり、「STOP」させたりする合図のようなものだと思ってください。
「GOサイン」:SD(弁別刺激)
弁別刺激の中でも、私たちの行動を「GO!」させるのが「SD」です。
SDは「Discriminative Stimulus」の略で、日本語では「弁別刺激」と訳されます。
SDのポイントはこれ!
- SDがあるときに特定の行動をすると、その行動は「良い結果(強化)」につながりやすくなる!
- 行動の「GOサイン」!
例を挙げてみましょう。
青信号
青信号が出ているときに横断歩道を渡ると、安全に道路を渡れますよね?
青信号は「渡る」という行動が安全という「良い結果」につながることを教えてくれるSDなんです。
電話の着信音
スマホが鳴っているときに電話に出ると、誰かと話せますよね。
着信音は「電話に出る」という行動がコミュニケーションという「良い結果」につながるSDです。
お店の「営業中」の看板
この看板が出ているお店に入れば、買い物や食事ができます。
「営業中」の看板は「お店に入る」という行動が目的達成という「良い結果」につながるSDですね。
SDは、私たちが「今、この行動をすればうまくいくぞ!」と教えてくれる合図となります。

「STOPサイン」:SΔ(非弁別刺激)
一方、私たちの行動を「STOP!」させるのが「SΔ」です。
SΔは「S-Delta」と書き、「非弁別刺激」と訳されます。
SΔのポイントはこれ!
- SΔがあるときに特定の行動をしても、その行動は「良い結果」につながりにくい(あるいは望ましくない結果になる)!
- 行動の「STOPサイン」!
こちらも例で見てみましょう。
赤信号
赤信号が出ているときに横断歩道を渡ると、車に轢かれる危険があったり、警察に注意されたりしますよね。
赤信号は「渡る」という行動が「良い結果につながらない(あるいは危険)」ことを教えてくれるSΔとなります。
だから私たちは渡るのをやめます。
電話が鳴っていないとき
スマホが鳴っていないのに電話に出ようとしても、誰とも会話をできませんよね。
電話が鳴っていない状況は「電話に出る」という行動が「良い結果につながらない」SΔです。
お店の「準備中」の看板
この看板が出ているお店に入ろうとしても、まだ営業していません。
「準備中」の看板は「お店に入る」という行動が「目的達成につながらない」SΔなんです。
だから、私たちは入るのを諦めます。
SΔは「今、この行動をしても意味ないよ」「やめといた方がいいよ」と教えてくれる、いわば「危険回避の信号」なんです。

SDとSΔを使いこなして行動しよう!
まとめると、SDとSΔはこんな関係性になります。
弁別刺激の種類 | 別名 | 役割 | その刺激があるときにその行動をすると… | 具体例 |
---|---|---|---|---|
SD | 弁別刺激 | GOサイン | 強化される (良い結果が得られる) | 青信号、電話の着信音、営業中の看板 |
SΔ | 非弁別刺激 | STOPサイン | 強化されない (良い結果が得られない、あるいは悪い結果になる) | 赤信号、電話が鳴っていない、準備中の看板 |
私たちの毎日の行動は、これらのSDとSΔを瞬時に弁別(区別すること)することで成り立っています。
この「弁別」のプロセスが、私たちが環境に適応し、効率的に行動するための基盤になっているんです。
行動分析学では、このように私たちの行動が環境とどのように相互作用しているかを詳しく見ていきます。
SDやSΔのような刺激が、私たちの行動をどのように形作っているのかを知ることで、自分自身の行動や、他者の行動をより深く理解できるようになるのです。
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