【応用編】FCTで教えた行動を「定着」させる技術!効果的な強化スケジュールの使い方

行動分析学・動物
スポンサーリンク

こんにちわ!ケンさんです!

前回の記事では、動物の「要求」であるマンド行動を理解し、望ましくない行動を適切なコミュニケーション(代替マンド行動)に置き換えるFCT(機能的コミュニケーション・トレーニング)について解説しました。

前回の記事

しかし、新しい行動を教えた後、「いつまでおやつをあげ続ければいいの?」という疑問が生まれると4思います。

今回は、アニマルトレーナーが実践する、良い行動を安定的に、そして自発的に続けさせるための強化戦略、強化スケジュールの移行について解説します!

ケンさん(アニマルトレーナー)
アニマルトレーナー歴15年。
行動分析学を応用した近代トレーニングを実施しています。
「行動分析学は世界をより良くする」と信じ、日々発信しています。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

強化の卒業:なぜ「毎回のご褒美」をやめるのか

トレーニングを始めたばかりの頃(ステップ③:徹底的な強化)は、動物に新しい行動を迅速に教えるため、行動が発生するたびに強化子を与える連続強化スケジュール (CRF)を使いました。

しかし、このCRFには欠点があります。

CRFの欠点

強化子(ご褒美)が途切れると、動物は「もう意味がない」と判断し、行動をすぐにやめてしまう(消去抵抗が低い)

私たちは、動物が「おやつがなくても、この行動は要求を叶えるために価値がある」と感じて、自発的に行動を続けられるように導く必要があります。

これが強化の卒業です。

ブリッジを使えばトレーニングも捗ります

行動を持続させる「間欠強化」への移行

新しい行動が獲得されたら、すぐに強化を「時々」与える間欠強化スケジュール (Intermittent Reinforcement)に移行します。

この移行こそが、行動を持続させる秘密です。

あわせて読みたい

最も効果的な強化スケジュール「変動比率強化スケジュール」

間欠強化の中でも、動物の行動を最も安定させ、消去抵抗(行動をやめにくくさせる力)を高めるのが、「変動比率強化(Variable Ratio: VR)スケジュール」です。

スケジュール名仕組み例(お座り)結果
連続強化(CRF)行動するたびにご褒美お座りするたびにおやつ習得は速いが、やめやすい
変動比率強化(VR)平均して〇回行動したらご褒美3回、2回、5回、1回…のようにランダムでご褒美行動頻度が高く安定し、持続力が高まる

VRスケジュールでは、動物は「次はもらえるかもしれない」という期待感から行動を止められません。

このランダムな期待感が、マンド行動を日常の習慣として定着させる力になります。

段階的な移行ステップ

  1. CRF(毎回強化)
    新しいマンド行動(お座り)を教え込む。
  2. VR-2(平均2回に1回強化)
    ランダムに1回お座りした後に強化したり、2回お座りした後に強化したりする。
  3. VR-4、VR-6…
    徐々に強化する頻度を下げていく。
  4. 自然な強化子の活用
    おやつなどの一次強化子から、注目や撫でることなどの二次強化子、そして最終的には「ドアが開く」「人が話しかけてくれる」といった要求そのものが満たされることを強化子とする。

まとめ:マンド行動のトレーニングは「卒業」までがプロの仕事

望ましくないマンド行動を変容させるには、ただ新しい行動を教えること(FCT)で終わりではありません。

真のプロの仕事は、動物が自発的に、そして長期間にわたって望ましい行動を選び続けられるように、強化スケジュールを管理し、「強化の卒業」まで導くことです。

この知識を武器に、動物たちとのより深く、安定したコミュニケーションを築いていきましょう!

\ケンさんおすすめの書籍はこちら/
スポンサーリンク
スポンサーリンク
行動分析学・動物
スポンサーリンク
ケンさんをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました